土砂水理学

土砂輸送理論や河床形態に関する講座です。全8回で解説します。

第2回 土砂の特性

はじめに

今回のテーマは土砂の特性です.土砂の種類から始まって,比重と水中比重,粒径と粒径分布について解説します.地質学や地球科学などではもっと詳しく扱われますが,土砂水理学や河床変動の数値シミュレーションに進むに当って必ずしも必須の事項ではないかも知れません.しかし,我々が扱う土砂,地形を形成する構成材料となる土砂の特性を知っておくことは重要なことです.また,土砂水理学にとっても混合粒径を扱う上で,この回の粒径分布の部分は大変重要です.基本的な事項は押えておきましょう.ちなみにこの章は米国滞在中にUniversity of Minnesotaでお世話になったProf. Gary Parkerの講義ノートを基にしています.

土砂の種類
一見,何の変哲もなさそうに見える土砂.我々が日常的に目にする土砂にも,実は様々な種類の土砂があります.代表的な土砂の種類について簡単に見てみましょう.

比重と水中比重
土砂は種類によって比重が異なります.が,概ね2.65程度です.ただし,我々が扱う土砂は水中にある土砂です.水中では浮力が働くため水の比重分だけ軽くなります.これを水中比重と言います.水中での土砂の動きやすさを決めるのは比重ではなく水中比重です.実験で使われる軽い粒子とも比較して,水中比重の意味を解説します.

粒径
土砂は粒径が20ミクロンより小さい粘土から,粒径が25センチを超える大礫まで様々です.ここでは地質学の分野で良く使われるΦスケールを使って粒径を定義します.

粒径分布
  粒径分布粒径加積曲線,そしてそれを微分して得られる確率密度関数で表わされます.河床に存在する土砂の粒径分布(確率密度関数)は対数分布曲線によく従うことが知られています.Φスケールが使いやすいのは,粒径分布のこの性質を反映しています.つまり,粒径Dそのものは対数正規分布をしていますが,その対数であるΦスケールは正規分布に近いのです.粒径分布の一般的な性質と,その数学的な表わし方について解説します(ただ,ちょっとマニアックに数学的過ぎて,わかりにくかったかも知れません.わかりにくいところがあれば質問してください).

空隙率
土砂の空隙率は河床変動を見積もる際必ず必要となるだけでなく河道内の生物環境を決定する重要なファクターです.ある種の淡水魚では礫間に産卵しますが,礫間に砂や泥が詰まって空隙率が低い状態では卵が育たないため産卵床としは適しません.空隙率は重要な問題であるにも関わらず,非常に簡単な取り扱いしかやっていないのが現状です.今後の研究課題という意味を込めて空隙率の意味に簡単に触れてみました.

第1回からずいぶんと時間が経ってしまいました.あれからずいぶん色々なことが....大地震に津波,そして原発事故.なんだか第1回目をアップしたのは大昔だったような....こんなことではだめだ!次回はもっと速やかなアップを目指します.乞うご期待です.

講師:泉 典洋
  • 講師:泉 典洋
  • 【プロフィール】
  • <所属>北​海​道​大​学​大​学​院​工​学​研​究​院​ ​環​境​フ​ィ​ー​ル​ド​工​学​部門
  • <趣味>大量飲酒.偏微分方程式.

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