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2020年7月4日の早朝に熊本県津奈木町福浜地区で発生した土石流の数値シミュレーションを実施したので報告します.なお,本解析結果は速報版であり,今後の現地調査などによるデータや知見によって,解析結果が修正される可能性もあります. CXレーダーによる降雨強度データによると,雨の降り始めは7月3日午前4時ぐらいであり,7月4日午前0時まで断続的に雨が降り,午前0時以降,降雨強度が大きくなり,時間換算の降雨強度が100mm/hを超えた時間帯もある.津奈木町福浜地区についても土石流が発生したのは7月4日の午前4時ぐらいであり(参考資料1),降雨強度が強くなり始めて約4時間後であった.なお,CXレーダーによる土石流発生時点における降り始めからの累積雨量は293mmである. 数値シミュレーションによると,津奈木町福浜地区の土石流は,発生から34秒で宅地に到達しており,土石流発生後の避難は難しいと考えられる.斜面の平均勾配は17度であり,比較的緩勾配であるが,流動距離が長いことにより土石流が発達して速度が速くなり,斜面での土石流の平均速度は13.4m/s(時速48km)であった.渓流の出口に二階建ての家屋が存在していたが,土石流で全壊となっている(参考資料1).土石流が倒壊した家屋に衝突した時の土石流の深さは3m~4mであり,家屋衝突による迫り上がりを考えなくても2階に到達するほどの深さであった.一方,約50m西の家屋にも土石流は流れているが,数値シミュレーションによると,家屋周辺の土石流の最大深さは約1.5mであり,土石流の速度も遅いため,家屋が破壊される可能性は低い.そのため,今回土石流が発生した渓流からの土石流に着目すると,約50m西の家屋であれば垂直避難で対応可能と考えられる.参考資料1) 毎日新聞:https://mainichi.jp/articles/20200705/k00/00m/040/082000c.投稿者:京都大学防災研究所 竹林洋史土木学会水工学委員会水害対策小委員会さんの投稿 2020年7月9日木曜日
2020年7月4日の早朝に熊本県津奈木町福浜地区で発生した土石流の数値シミュレーションを実施したので報告します.なお,本解析結果は速報版であり,今後の現地調査などによるデータや知見によって,解析結果が修正される可能性もあります. CXレーダーによる降雨強度データによると,雨の降り始めは7月3日午前4時ぐらいであり,7月4日午前0時まで断続的に雨が降り,午前0時以降,降雨強度が大きくなり,時間換算の降雨強度が100mm/hを超えた時間帯もある.津奈木町福浜地区についても土石流が発生したのは7月4日の午前4時ぐらいであり(参考資料1),降雨強度が強くなり始めて約4時間後であった.なお,CXレーダーによる土石流発生時点における降り始めからの累積雨量は293mmである. 数値シミュレーションによると,津奈木町福浜地区の土石流は,発生から34秒で宅地に到達しており,土石流発生後の避難は難しいと考えられる.斜面の平均勾配は17度であり,比較的緩勾配であるが,流動距離が長いことにより土石流が発達して速度が速くなり,斜面での土石流の平均速度は13.4m/s(時速48km)であった.渓流の出口に二階建ての家屋が存在していたが,土石流で全壊となっている(参考資料1).土石流が倒壊した家屋に衝突した時の土石流の深さは3m~4mであり,家屋衝突による迫り上がりを考えなくても2階に到達するほどの深さであった.一方,約50m西の家屋にも土石流は流れているが,数値シミュレーションによると,家屋周辺の土石流の最大深さは約1.5mであり,土石流の速度も遅いため,家屋が破壊される可能性は低い.そのため,今回土石流が発生した渓流からの土石流に着目すると,約50m西の家屋であれば垂直避難で対応可能と考えられる.参考資料1) 毎日新聞:https://mainichi.jp/articles/20200705/k00/00m/040/082000c.投稿者:京都大学防災研究所 竹林洋史