EvaTRiP(Evaluation Tools for River environmental Planning)は、主に中小河川の河道計画・設計における河道の安定性、河川の環境や維持管理に関する検討に利用することを目的として開発されたツールです。
現状のツールでは、以下の4つの機能を有しています。
1.護岸要否の評価・・流速に対して護岸の要否箇所を評価することができます。
2.移動限界粒径の評価・・砂礫が移動を開始する限界の単一粒径を評価することができます。
3.陸生植物生育可否の評価・・河道内の陸生植物の生育の有無について評価することができます。
4.魚類生息場(HSI)の評価・・魚種の生息場評価(Habitat Suitability Index)を評価することができます。
今後の川づくりにおいては、計画の初期段階から環境や維持管理についても定量的な評価を行い、目標流量の流下と環境・維持管理の双方を満足する河道の形状を模索していくことが重要となります。この解消の1つの手立てとして、河道計画の際に手助けとなるツールを試行的段階ではありますが、提供することとしました。今後は機能をより拡充し、治水・環境・維持管理を計画から設計までを一体的かつ短時間で検討できるツールとシステムにしたいと考えています。なお、今回提供したツールによって得られた評価結果は計画・設計を行うための一つの材料であり、これ以外の様々な条件を勘案して断面設定等の判断を行う必要があります。例えば、魚類の生息場評価は、流れの計算に基づく流速や水深から得られるある魚種の生活史の一段階における生息場ポテンシャルの評価結果であり、多様性を保全するためには、連続性や生物間相互作用等々な視点を踏まえる必要があります。